だれの息子でもない [日記]
久しぶりの神林 長平先生の作品です.その前に読んだ作品が
「絞首台の黙示録」だったので随分待ち遠しかったです.
舞台は近未来の日本、そこでは各家庭に一台、携帯型対空ミサイル
略称:オーデン改が配備されているという世界です.
消火器ではなく携帯型対空ミサイルです.緊急、有事の際に各個人が
使用するということなのですが、物語では外の世界との闘争や
敵国などは具体的に語れることはありません.
まるで自叙伝のように安曇平の静かでのどかな風景から
物語が始まります.
主人公は幼い頃に父を亡くし仕事をしながら、介護施設の母を
見舞う青年です.彼の仕事は市役所での電算課電子文書係.
故人となった市民の、ネット内の化身人格(アバター)を消去する仕事です.
一見平和な生活は、彼の前に突然現れた死んだはずの父親の亜パターが
現れたことにより一変していきます.最後まで神林節健在です.
相変わらず刺激に満ちた作品です.早くまた次を読みたい.
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