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ときには真珠のように [日記]

あの「ブラック・ジャック」の第29話「ときには真珠のように」という話で
ブラックジャックは恩師である本間丈太郎の最後を見取るシーンが出てきます.

あの有名な本間先生の最後の言葉がこの第29話で出てくるのです.

「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんて
 おこがましいとは思わんかね」

翻って私が研修医の頃は、自分の医療技術で出来ることは限られていて
検査も手術も処置もカテも、全て上級医師にお願いすることしか出来ず
ただ何度も患者さんのベッドサイドに足を運んでいました.

もはや延命困難となったとあるご高齢の患者さんが、たえだえの
意識の中で「私が最後の時には、私のそばに居ておくれよね...」と
つぶやいたことが今でも心に残っています.

人間に寿命というものがある以上、この先どれくらい医療技術が
進歩したとしても、最終的には死というものを受け入れざるを得ません.

目の前の患者さんに対して、もはや有効な治療法がないというのは
医師にとってはかなりのストレスであり、敗北感に打ちのめされます.

それでもまだ出来ることがあるはずなのだと思います.


誰にも死ぬという任務がある (徳間文庫)

誰にも死ぬという任務がある (徳間文庫)

  • 作者: 曽野 綾子
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2014/02/07
  • メディア: 文庫



人は不老不死ではなく寿命があるという事実ときちんと向き合って
自分らしく、人間らしく生きるための知恵がここに書かれています.

誰もが避けられない最後の瞬間を負け戦と考えるのか
心の準備もして、自分らしくミッション(任務)を果たしていくのか.
いろいろなことを大いに考えさせてくれる本です.

医療スタッフの方々にはぜひ読んでいただきたいです.

「もう年だから...」そんな言葉を外来や入院のご高齢の患者さんから
良くお聞きします.年齢や人生のいろいろなステージに見合った
医療やケアというものがあるはずだと、改めてそんなことを考えさせてくれます.

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