日本史の謎は「地形」で解ける [日記]
かの養老孟司先生と、荒俣宏先生のご推薦の本です.
著者は、歴史の専門家ではなく、河川行政に長年携わり
日本全国の「地形」を熟知する竹村 公太郎 氏です.
京都が日本の都となったのはなぜか.
頼朝が狭く小さな鎌倉に幕府を開いたのはなぜか.
関ヶ原勝利後、家康がすぐに江戸に帰ったのはなぜか.
元寇が失敗に終わった本当の理由とは何か.
なぜ信長は比叡山延暦寺を焼き討ちしたか.
赤穂浪士の討ち入りはなぜ成功したか.などなど.
歴史的文献からの議論ではなく、まずは地形から入る、
それも現在の地形だけでなく、その当時の河川状況や地理的状況を
考慮して日本史の謎を考えていくというのが、この本の面白さです.
歴史の専門家にはないインフラからの視点というのが興味深いです.
そういう意味では理系的な歴史書という感じです.
十分なインフラもなく、今のような技術もない中で、戦国武将たちが
いかに自分たちの国をつくっていったか、地形からの分析は改めて
かの偉人たちの別の姿を垣間見せてくれます.
地形から分析した赤穂浪士の討ち入りの話は、まさしく
まったく新しい歴史を私たちに見せてくれますし、これまでの固定観念を
あざやかにひっくり返してくれます.
まさにミステリーの謎解きの大どんでん返しのようです.
著者の竹村先生には、ぜひこれからも地形的歴史学の研究を続けていただいて
さらにそのフィールドを世界史にまで拡げていただきたいものです.
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