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グラフトマスター リニューアル [仕事]

本当に大切だけど、できれば使わずに済ませたいことってありますよね.

たとえば車のエアバック、これがついていない車なんてありえません.
でも出来れば エアバックのお世話にならずに安全運転ですごしたいものです.

そしてたとえば消火器とか火災警報器、これがあるからこそ安心して暮らせます.
できてば使わずに暮らしていくのが良いです.

さらにたとえば豪華客船の救命ボート、これも生命がかかってます.
かのタイタニック号には、乗客の数に見合うだけの救命ボートが搭載されておらず
よもやの事故で悲劇が起こってしまった事は、皆さんご存知の通りです.

カテ室で使われる医療器具も、同様に出来れば使わずに済ませたいものがあります.
IABP(バルーンポンプ)、PCPS(経皮的人工心肺)などなども救命のために
とても重要な働きをしてくれる医療機器ですが、出来ればお世話にならずに
さくっと、カテーテル治療が済んでくれれば本当にうれしいです.

でもそもそも循環器のカテーテル治療は、急性心筋梗塞や不安定狭心症など
病気そのものが生命の危険のある状態なので、心臓手術と同様のリスクを背負う
安全性の確保とリスクマネージメントが必要になります.

そんな私たちにとって、出来れば使わずに済ませたいけれど、いざという時に
絶対なければ患者さんを救命出来ないという、いわば絶対的クローザーがあります.
それがアボットさんのグラフトマスターです.

グラフトマスター1.gif

カテーテル治療において、稀な合併症の一つに冠動脈穿孔(Perforation)があります.

IVUSやCTなどの最近の冠動脈イメージングの進歩により、なんとかこの合併症を
発症させないように繊細で慎重なカテーテル治療が日々実践されています.

しかし治療の難しい複雑病変を相手にする場合には、この合併症を防ぐのはもちろんですが
もし人事をつくしても冠動脈穿孔が怒ってしまった場合には、最終的なゲートキーパーとして
このグラフトマスターが活躍することになります.

普段はめだたずにいるけれど、いざという時に大活躍するスーパーヒーローです.

グラフトマスター2.gif

グラフトマスターの構造としては、冠動脈穿孔部分をシールするための血管グラフトと
冠動脈ステントが組み合わさって、専用バルーンに装着されています.
血管グラフトはePTFEという材質が使われているそうです.

血管グラフトとステントとのダブル構造のため、どうしても通常の冠動脈ステントに比べて
ガイドカテや病変への通過に技術と工夫が必要となります.

今回のグラフトマスターリニューアルにおいて、マウントバルーンが改良されたそうです.
従来のJOSTENT GRAFTMASTERに比べて新しいGRAFTMASTERは
Xienceと同性能のマウントバルーンが採用され、デバイス通過性能が向上しました.

グラフトマスター3.gif

さらにはグラフトマスターのステントサイズについても、2.8 mmから4.8 mmまで
冠動脈血管径に合わせて幅広い柔軟なサイズ選択が可能になったのもうれしいところです.

アボットさんの公式見解としては6Frシステム対応ということですが
そこはスレンダークラブジャパン会員として、新たなシステムの性能を十分に引き出して
使いたいと思うところです.

グラフトマスターは、でもあくまで最終秘密兵器という位置付けなので
ルーチンワークでほいほいと簡単に使う道具ではありません.

滅多に使われる事がなくても、デバイスの性能アップをもくもくと進める
メーカーさんの姿勢には頭が下がります.

私のMac購入のための秘密のへそくりのように、いざというときのために
大事な道具の準備だけは怠りなくしておきたいと思います.

実際の仕事でも社会でも、表舞台にでることもなく、黙って自分の持ち場を守っている
多くの素晴らしい人たちのことを私は尊敬します.

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