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研修医・看護師のための心臓カテーテル 最新基礎知識 [好きな本]

若い人は、体力もあるし新しいことにも興味をもって
積極的に取り組んでくれるので、なんでも飲み込みが早いです.

新しい医療機器も新しい治療もあっという間に覚えてしまいます.
それが若さの特権というべきでしょう.

私だって若い時、研修医の頃は、自分でいうのもなんですが
ものすごく勉強した記憶があります.

若さのエネルギーを今更取り戻すのは難しいですが
ベテランの強みといえば、やはり暗黙知に支えられた
経験値ということでしょうか.

若い人が知らないカテーテル治療の歴史をしっているとか
現在の治療の根拠となったさまざまな研究を同時代に経験したとか
そんなところでしょうか.

カテーテル治療の世界の進歩のスピードは速く
新しい治療器具がどんどん登場してきています.

もはや現場から消えてしまって製造も中止になってしまったデバイスのことを
詳しく知っていたとしても、すぐには役に立たないかもしれません.

それでも最近パーフュージョンバルーンがRyusei(カネカ)という形で
リバイバルしたこともあり、例えば消えてしまったDCAも
もしかしたら再登場することもあるかもしれません.

今のところは若いスタッフに向かって
「カテの歴史を知ることで、より良い未来を考えることに繋がるからね」と
うそぶいている私です.

 研修医・看護師のための心臓カテーテル 再診基礎知識

怖くない.gif

ご高名な天理よろず相談所病院循環器科の中川先生のご本です.

心カテスタッフのためのマニュアルは、これまで何冊も出版されています.

それらはあくまでカテ室での仕事を中心に解説されたものが多く
実際にカテに入るスタッフには実用的であるのですが
循環器外来や循環器病棟など、カテには入らないけれど
心カテの患者さんをケアするスタッフにはちょっと物足りなかったのです.

中川先生の書かれたこの本は、心臓カテーテルの細かい技術的なことだけでなく
虚血性心疾患の病態、カテーテル治療の歴史なども詳しく書かれています.

現在は薬剤溶出ステントが治療の中心となっていますが
薬剤溶出ステントがどのような経緯で開発されてきたのか
昔のカテーテル治療で再狭窄という問題がどれほど皆を悩ませたか
さらにはそもそもステントも存在せずバルーンしかない時代の
カテーテル治療とはどのようなものであったか
そんな歴史と経緯もこの本で知ることが出来ます.

難しい専門用語や業界用語は極力わかりやすく解説されていて
新人さんやビギナーにも読みやすい内容です.

さらにはカテーテル治療を受けられた患者さんのフォローアップや
生活指導や薬物治療も詳しく書かれていて病棟スタッフにもオススメです.

技術に走りがちはカテ室スタッフにも、今一度基本に帰って
基礎となった臨床研究を総ざらいして、カテチームとして
虚血性心疾患に対する治療方針の基礎を理解するために有用な教科書です.

そんなわけで当院では、この中川先生の本を4〜5冊購入して
病棟、外来、カテ室に常備することにしました.

研修医、看護師だけでなく、本当は、非循環器科医師にも
読んでもらえると本当は有用だと思います.

そうすれば周術期や内視鏡に関しての抗血小板薬の相談も
各科と循環器科の間でもう少しスムーズに行くような気がします.

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