統計学が日本を救う [日記]
統計学が日本を救う - 少子高齢化、貧困、経済成長 (中公新書ラクレ)
- 作者: 西内 啓
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2016/11/08
- メディア: 新書
「統計学が最強の学問である」で話題となった
西内 啓 氏の新作は「統計学が日本を救う」です.
この書では、統計学のロジックを使って日本の抱える
様々な問題に統計学的答えを出していきます.
「すべての日本人を無制限に救えるほどの財政的余裕がない状況」
が確実にやってくるこれからの日本の未来を考えるにあたり
俗説や通説、感情的な議論に惑わされず、統計学的に
正しい答えを出す方法が示されています.
興味深いのは高齢化の問題、医療費の問題も統計学的に
論じられている点です.統計学的に示される高齢者医療の
現実に医療者は真摯に向き合うべきと思います.
沖縄の危機 [日記]
沖縄の友人たちとともに勉強している本です.
本土でのマスコミの情報のみでは、沖縄の危機的状況が
十分に伝わっていない思いが強いです.
沖縄に暮らす友人達の日々の真摯な思いとマスコミ情報の
ズレと不一致は一体どこから来るのか.
沖縄の問題は、日本の問題であり、この本を読むことで
沖縄の問題だけでなく日本を取り巻く状況がよくわかります.
平和であるはずのこの国で、このような状況が今だ横行している
その現実.
この国の平和を真に願うのであれば、まずはこの書を読み
偏らない真摯な態度で向き合うことが必要です.
負けられない戦いがここにあります.
キャスターという仕事 [日記]
23年の長きにわたりNHK「クローズアップ現代」の顔として
勤め上げた国谷キャスターの自叙伝です.
海外ではアンカーと呼ばれているキャスターという仕事は
一体どのようなものか.「クローズアップ現代」の始まりから
23年目の最終回に至るまでの歴史を通じて、国谷キャスターが
考える答えが描かれています.
メッセージがシンプルなほうが視聴率が取りやすいとの理由で
わかりやすい番組が増える中で、キャスターのもつ言葉の力は
より重要なものであると.
「わかりやすく」することでかえって、事象や事実の持つ
複雑性や深さ、多面性などをそぎ落としてしまう可能性がある.
物事を単純化する、悪と正義のような二元論でとらえてしまう.
わかりやすく伝えることで、そこで考えることをやめてはならない.
難しい問題は、やはり難しい問題として受け止めるべき.
報道やマスコミの問題点がいろいろ言われる中で
国谷キャスターの言葉の力を信じて仕事をされてきた
この23年の記録は私たちに多くの示唆を与えてくれます.
雪煙チェイス [日記]
贅沢のススメ [日記]
愛着障害の克服 [日記]
愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる (光文社新書)
- 作者: 岡田 尊司
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2016/11/17
- メディア: 新書
職場や家庭でのストレスが大きい、仕事がつらい
家族との関係がぎくしゃくしている、職場での人間関係に
日々心をすり減らしている、信じていた人に裏切られた...
とかくこの世は住みにくいものですが、心に傷をかかえたまま
それでも頑張るしかないのでしょうか.
外来を訪れる患者さんたちも、自身の病気の治療だけでなく
それをとりまく人間関係や家族関係の悩みを多く抱えています.
病気で大変な状況になった時に、そうした家族関係や人間関係が
赤裸々に顔を出してきます.
傷ついた人間関係を修復し自分自身の人生をきちんと生きるための
キーワードがこの本で取り上げられている愛着障害です.
問題行動をとる人の中に、愛着障害が隠れているというのです.
読み進めていくと、とても現実にそったアプローチだと思えます.
愛着障害を克服し自らが安全基地となるための知恵
臨床の仕事に有益だと感じます.臨床にかかわるものは、まず
自らの愛着の問題を解決する必要があるようです.
いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学 [日記]
いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: センディル ムッライナタン
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2017/01/07
- メディア: 単行本
その昔、「毎日が日曜日」という作品がありましたが
今は、いつも本当に時間がない感じで、せかせかしてます.
逆にたまに時間がとれると、本当に良いのかと思ってしまったり.
この本は、そんな「時間がない」と感じるメカニズムは何なのか.
欠乏の行動経済学、心理学的考察が述べられています.
経済的な欠乏だけでなく、時間の欠乏や様々な欠乏が語られます.
・いつも時間に追われて思うように物事が片づかない
・それなりの収入はあるのに、借金を重ねてしまう
・ダイエットに取り組むが、長続きしない.などなど
欠乏による失敗は、ほとんどの場合、個人の資質の問題や能力不足と
考えられて処理されてしまいます.
欠乏行動経済学的考察によれば、個人の資質ではなく、欠乏が引き起こす
人や組織の処理能力や判断能力への影響が問題なんです.
どうすればうまく行くか、欠乏から来る影響を最小限に抑えて
個人や組織の処理能力を上げられるか.この書にヒントがあります.
光秀の定理 [日記]
誇大自己症候群 [日記]
現在社会を脅かす異常な犯罪、猟奇的事件、少年犯罪
モラハラ・DV・ストーカー、そして暴言政治家等々.
従来の精神医学的枠組みでは十分にその姿を捉えきれない
社会全体に蔓延する精神病理.
それを「誇大自己症候群」と名付けて解説したのが本書です.
・自分は特別だと思っている
・他者に対する共感性が乏しい
・非現実的な夢を見がちである.
・思い通りにならないと激しく起こる
・非常に傷つきやすい
全然関係のない遠い世界の話ではなく、「誇大自己症候群」という
精神状態が我々のすぐ身近に蔓延していることがわかります.
具体的には職場での困った人たち、パワハラ・モラハラをしかけて
くる人たち、そういったトラブルパーソンに立ち向かうために
まずはこの「誇大自己症候群」を認識することで
より良い解決を考えることが出来そうです.
さらには社会問題や政治の世界でも新たな観点が得られます.
話題のトランプ大統領、クリントン元大統領、オバマ元大統領に
対しての分析もあって興味深いです.
Homo Deus: A Brief History of Tomorrow [日記]
Homo Deus: A Brief History of Tomorrow
- 作者: Yuval Noah Harari
- 出版社/メーカー: Harvill Secker
- 発売日: 2016/09/08
- メディア: ペーパーバック
「サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福」として
日本語版がベストセラーとなっている
「Sapiens: A Brief History of Humankind」の著者
ユヴァル・ノア・ハラリ博士の新作はホモサピエンスから
進化したホモデウス「Homo Deus」です.
人類の歴史は戦争・紛争、飢饉、疫病との戦いでありました.
テクノロジーの進化によって古代、中世の世界から比べれば
人類を脅かす困難との戦いははるかに成功を収めつつあります.
これからの人類がどのような未来を目指すべきか
膨大な資料と例証の元に解説されています.
果たして人類がホモサピエンスを超えて神の領域である
ホモデウスに進化することができるのか.
現在進行形で活躍する日本、中国の政治家の名前も登場し
まさに同時代の未来スコープとして刺激的な本です.