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走れ病院

父親となった医師がよく聞かれる質問の一つが
「やっぱり自分の子供にも医者になって欲しいですよね?」

かくいう私の場合は、別に両親は医者でもなく、病院とは
関係ない仕事であったため、自分の意志と成績と相談して
進路を決めたということになります.

病院の勤務医であれば、まだしも家が病院であるとか医院であるとか
そうなると家を継ぐことが公私共に期待されプレッシャーも大きいはずです.

なので自分の子供にはあまり強制的なことは言わずに
自分たちの好きなようにさせています.

苦労はさせたくないですが、どの仕事についても苦労はするわけで
少なくとも同じ仕事ならちょっとはサポート出来るのではと思うのです.


走れ病院 (実業之日本社文庫)

走れ病院 (実業之日本社文庫)

  • 作者: 福田 和代
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2014/10/03
  • メディア: 文庫



医者になるのが嫌で、経営学部に入り、医療とは関係ないITベンチャーに
勤めたものの、インド出張中に勤め先がつぶれた主人公.

帰国してみれば、故郷の総合病院院長だった父親が急逝してしまい
元・サラリーマンで医師免許も持たない主人公は
急遽父のあとを継ぐかたちで病院理事に就任しての3ヶ月が始まります.

地方の老舗の病院の危機、病院経営と銀行との関係、そして医師不足
産婦人科医の辞職、医者の勤務体系問題、患者の不満と不安、医療難民
などなど現場の医師としては、かなり身につまされる内容です.

医師でないいわば門外漢の主人公が病院の建て直しに奮闘するわけですが
作品に登場する病院の医師たちと同様に、医者でないのになにがわかる?
と最初は思ってしまいますが、そこを我慢して読み進めれば
驚くことに、いつしか、主人公の情熱に読者の私までも巻き込まれます.

一般の方にはもちろんのこと、病院勤務で日々忙しい毎日を送っていらっしゃる
諸兄の皆さんにもお勧めの本です.

素人だからこそ、医療とは違う仕事をしていたからこそ
外から違う視点でみることで、きれいごとではない病院のあり方や
医療の必要性がわかると思います.

情熱と愛情と責任感がキーワードですね.

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共通テーマ:日記・雑感

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