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心臓外科医の覚悟と医師という職業 [好きな本]

同業者の書かれる本は、どうしても余分な情報がある分
ちょっと変な読み方をしてしまって、純粋に読者として
楽しむことができないことがあります.

最近読み終えた「心臓外科医の覚悟」という本は
かなり面白かったです.


心臓外科医の覚悟  角川SSC新書  医師という職業を生きる (角川SSC新書)

心臓外科医の覚悟 角川SSC新書 医師という職業を生きる (角川SSC新書)

  • 作者: 山本 晋
  • 出版社/メーカー: 角川SSコミュニケーションズ
  • 発売日: 2011/01/08
  • メディア: 新書



川崎幸病院大動脈センターの山本 晋先生の書かれた本です.
大動脈外科を専門に仕事をされていらっしゃいます.
この10年間の手術数は2000例を超えられたとか.

心臓外科医としての修行時代の話から始まり
大動脈センターを造られる苦労から
表題にもある心臓外科医の覚悟について
ちょうどお酒の席で、先輩医師が新人医師に熱く語るような感じで
いろいろな蘊蓄が語られます.

それは私のような世代の専門外の医師にとっても
とても面白いお話でした.

アメリカ修業時代、世界的に有名な心臓外科医の
500例以上の手術に立ち合い、克明にノートに記録し続けたそうです.
この作業が大動脈瘤の手術の腕を磨くのに役に立ったそうです.

トップナイフ、マスターとよばれる医師は
こうした素晴らしい工夫と努力があるのですね.

民間病院である川崎幸病院に大動脈センターを創設する際の
苦労話も印象的でした.

私も今の病院で一から心カテ室を作らなければならず
ずいぶん苦労しましたが、この本には、大動脈センターを
どのように立ち上げていったが書かれています.参考になります.

やはりスタッフ一人一人がモチベーションをあげて
レベルを上げていくのが大切であり
さらにはトップの情熱が必要ということだと思います.

山本先生が勧めるプロとしての仕事術の要点はこんな感じです.

・手書きノートのすすめ
 真剣に見、手を動かしてノートをとれば、しっかりと頭に残る

・手術の最適化
 無駄を省き、作法を構築する

・技術は頭で学ぶ
 手術数では上達しない.何が目的なのかを理解する

・チームに甘えるな
 一人一人がプロフェッショナルたれ

・最先端の落とし穴に気をつけろ
 基本は人間、それを忘れない

専門は違いますが、ちょっと元気をもらいました.

医師だけでなくコメディカルスタッフの方々も
ぜひ目を通されると良いと思います.

うちのカテ室スタッフと病棟スタッフは必読の書ですよお!

nice!(7)  コメント(4) 
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コメント 4

Bluemoon

ものすごく興味深い内容です(^^)
すぐにアマゾン検索してみます。
by Bluemoon (2011-04-17 15:30) 

yangt3

>Bluemoonさん、コメントありがとうございます.
ぜひ皆さんで情報共有したいです.
これからはコメディカルの時代です!
by yangt3 (2011-04-17 17:33) 

Bluemoon

お疲れ様です。
アマゾンで注文して、もう少しで読み終わります。
読み進めていくほどに驚いています。
私の身近に同じことを言う方がいることにです。
その方も医師なのですが、本当に同じことを言われています(^^;)
そのことを話したらぜひ読みたいと私が読み終わるのを待っておられます。
この本に出会えてよかったです(^^)ありがとうございました。
何をどうしたらいいのか悩んでました。
少し方向性が見えたような・・・・頑張ります。
by Bluemoon (2011-04-21 20:17) 

yangt3

>Bluemoonさん、コメントありがとうございます.
私が読み終えたこの本は、すでに病棟スタッフの間を
回っています.
読み終えたスタッフの力になることを願っています.
ぜひ身近なその先生にも執筆を勧めてください(^^)
by yangt3 (2011-04-21 22:40) 

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