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患者と作る医学の教科書 [好きな本]

私は、カテーテル治療を仕事とする循環器医師ですが
ご近所の知り合いの方々からは、専門外の相談がよく持ち込まれます.

心臓関係、循環基関係、カテ関係であれば、いざとなれば
私が診ましょうと、自信をもってお答えできるのですが
専門外の領域については、結局のところ、その科の専門の先生を
受診するようにご説明するだけです.

ただ医療にかかわるものとしてある程度までは
疑問や不安にお答えしたり、概略をお話することはできます.

いわゆる口コミ情報のようなもので、専門外であっても
知り合いやかかりつけの先生に聞く方が手っ取り早いし
情報の安心感も違うと思います.

私自身も、専門外の勉強は自分で教科書で勉強するよりは
その道のプロに直接聞いた方が早く確実なので
できるだけいろいろな専門の先生とお近づきになるように心がけています.

外来では、自分のことだけでなく身内の相談もお聞きすることがよくあります.

市民の視線にたった医学書が必要と思っていたところ
最近、こんな本が上梓されました.

 患者と作る医学の教科書

教科書.gif

 坂巻 哲夫 編纂

ネットにも記事が掲載された話題の本です.

 医学部教科書:患者が執筆「生の声知って」
 http://mainichi.jp/select/science/news/20091010k0000e040048000c.html

編纂にあたったのは群馬大教授(医療情報学)の坂巻 哲夫先生です.

基本的なスタンスは患者さんの支店で教科書を作る、ということで
例えば、従来の教科書で「口渇(こうかつ)」と書かれていた症状は
「飲んでも飲んでも潤わない激しいのどの渇き」と表現されています.

循環器の分野では「先天性心臓病、後天性心臓病」の項目があり
医師や看護師などに臨むことの項目は、循環器を専門とするものにとっても
とても参考になります.

医師と患者さんとは病気を通じて長い付き合いになるにもかかわらず
実際には外来も病棟でも医師が忙しさのため十分な時間がとれません.

病気だけではなく病気に悩む患者さんその人と、ちゃんと向き合うために
全ての医療関係者に役に立つ本だと感じました.

私たちの病院でも他のスタッフに勧めてみようと思います.

今後どんどん改訂を続けていろいろな病気を
カバーしてくれるようにと願っています.

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T-CHIRO

その道の専門家にきくのが一番早く確実なのは確かなのですが・・・

ドクターに質問すると専門外なのでわかりませんといわれて、なぜか(理由はわかってますが)我々のところで質問されることが非常に多いです・・

医療機関サイドで少し違う、情報を伝えてあげればいいのにと思うことがよくあります。たまにあそこでは(医療機関も含めて)どんなことしてますか?と問い合わせがくることもあり、それはうちわからないので、うちにきくのでなく、そこ直接きいてくださいということもあります。まあそれだけききにくい雰囲気があるのが患者さんサイドの本音なんだと思います。
by T-CHIRO (2009-10-19 20:05) 

yangt3

>T-CHIROさん、コメント、niceありがとうございます.
専門というと良い意味も悪い意味もありますが(^.^)
良い意味で専門家同士の連携をめざしたいですね.
かかりつけ医が各専門家の間にたって
コーディネートしたり情報を伝えることが重要に
なってきていると思います.

by yangt3 (2009-10-19 22:07) 

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