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「コアベータ」で高画質な冠動脈CTを [仕事]

最近では狭心症の診断のために通常のカテーテル検査に先立ち
まずは冠動脈CT検査を行う事が多くなりました.

当院でも放射線科の若手スタッフが日々、冠動脈CT検査に
取り組んで頑張っています.

私たちの病院の特徴を挙げれば、スタッフが少数精鋭であることを
逆手にとって、放射線スタッフ若手が心臓CTから冠動脈造影そして
カテーテル治療まで一貫して検査・治療に参加するということです.

若手たちが自分たちで工夫して作り上げた冠動脈CT画像の結果は
続けて行われる冠動脈造影やカテーテル治療の際の結果とともに
日々フィードバックされます.

有意狭窄と判断したのにカテーテル検査では石灰化だけで狭窄なしとか
石灰化だけで大丈夫でしょうと思ったところが、カテでは
けっこう厳しい狭窄であったとか、ホントに臨床って難しいです.

それでも放射線科、ME、カテ室ナース、そして医師がチームとして
協力してCTもIVUSもいろいろな画像診断もカテも
一緒に情報共有して、質の高い診断と治療をめざしていくのが
とても良い感じだと思います.

冠動脈CT検査は比較的低浸襲で患者さんの負担も少なく
冠動脈病変の診断が可能なわけですが
CT撮影時に緊張などで心拍数が高くなると
せっかくの冠動脈CTも画像が乱れてしまい診断能も低下してしまいます.

通常はベータブロッカーの内服薬を検査前に服用していただいたいり
検査時にインデラルというベータブロッカーを注射して
冠動脈CT検査を行っていました.

適切な心拍数にするためには、どうしても多くの薬剤投与が必要になったり
薬剤効果が出るまでに時間がかかったりと、まだ私たちとしては
事前の準備に満足がいくものではありませんでした.

今回、冠動脈CTの高心拍時に、適切な心拍数に低下させて
かつ冠動脈描出能を改善させるための専用薬剤「コアベータ」が登場しました.

コアベータ1.gif

「コアベータ」は短時間作用型β1選択的遮断薬です.

同じ成分のものは「オノアクト」として
「手術時、手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置
 (心房細動、心房粗動、洞性頻脈)
の適応が承認されています.
当院手術室でもすでに使用されていて、その効果は実証済みです.

今回は冠動脈CT検査時専用の使用ということで
当院でもさっそく「コアベータ」を導入いたしました.
今後の冠動脈CT検査はこの薬剤を使って行われる事になります.

「コアベータ」はβ1選択性ということで喘息患者さんにも使用可能で
これまで煩雑であった冠動脈CT検査の前処置を簡略化することが
出来ます.検査を受けられる患者さんの負担も軽くなります.

さらには薬剤による良好な心拍コントロールで
質の高い冠動脈CT検査につながり、検査を受けられる患者さんに
大きなメリットになると思います.

コアベータ2.gif

9月20日には放射線科スタッフ、カテ室ナース、ドクター対象に
「コアアクト」の勉強会も施行され準備万端です.

冠動脈CT検査の技術を研鑽して、ぜひその成果は
研究会や学会発表に繋げて欲しいと思います.

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